くらしに、ひと呼吸

LGBTQ 相手のありのままの性を理解する

新年度が始まりました。進学、そして就職などをきっかけに、人との新しいつながりが生まれる時期ですね。さてみなさんは、新たに出会う相手の性をどのように判断しますか?服装や髪型、体格、書類などといった情報を元に、判断される方もいるかもしれません。では、スカートをはいていたり、声のトーンが高かったりするのは、女性だけでしょうか?また、ネクタイを着用したり、体型がガッチリしていたりする人は、男性だけでしょうか?そして性は、女性と男性の2つのみでしょうか?こうした多様な性をテーマに、4月号~6月号にわたって、みなさんと一緒に、理解を深めていけたらと思います。

LGBTQとは

社会の中には、「男性」「女性」「異性愛者」という性の用語があるように、その他にもたくさんの性の種類が存在しています。みなさんはLGBTQという言葉を耳にされたことはありますか?これは、多様な性の頭文字をとった言葉です。Lはレズビアン(女性同性愛者)、Gはゲイ(男性同性愛者)、Bはバイセクシュアル(両性愛者)、Tはトランスジェンダー(生まれたときの性別と性自認が一致しない人)、Qはクエスチョニング(性自認や性的指向を定めていない人、または定まらない人)・クイア(性的少数者を包括する言葉)を示しています。「LGBTQ」とは、性的少数者を表す言葉でもあり、多様な性を包括するような意味合いも込められています。

いろいろな性別のとらえ方

性別というと「身体の性」「戸籍の性」が挙げられますが、この他にも「自認する性」「性的指向」「性表現」など、いろいろな性が存在しています。「自認する性」とは、自分自身の性をどのように認識しているかというものです。「男性」「女性」や、「どちらでもない」「女性寄り」など、さまざまなとらえ方があります。「性的指向」とは、その人が好きになる性のことです。「男性が好き」「女性が好き」「性に関係なく好き」「人を好きにならない」など、これにもさまざまな指向があります。そして「性表現」とは、その人が表現する性のことです。

相手の性を理解する

では、上記で挙げた「身体の性」「性自認」「性的指向」「性表現」は、どれか一つが定まると、他も同様に定まるのでしょうか?それは、確実とは言えません。例えば私の場合「身体の性」は男性です。「性自認」の観点では、自分を男性でも女性でもないと認識しています。また「性的指向」は性に関係なく恋愛感情を抱くことが多いですし、「性表現」の点では、日常的にメイクをします。性のあり方は、個々によってそれぞれです。一つの情報のみにとらわれず、相手自身の性を、全人的に理解していくことが大切ではないかと思います。

にじっぺ茨城代表
永瀬 大紀

福島大学にじいろサークル設立・元代表。筑波大学大学院障害科学学位プログラム在籍。LGBTQに関する理解啓発・居場所づくりの活動を展開する。

にじっぺ茨城代表<br>永瀬 大紀先生