くらしに、ひと呼吸

LGBTQ お互いを尊重し合える社会

LGBTQ当事者にとって、今の日本の社会では、生きづらさを感じることも多くあります。では、どのような社会であれば、みんなが安心して生活することができるのでしょうか?

LGBTQ当事者への配慮

前月号のエピソードの続きです。私は職場の担当者に、自らの性についてカミングアウトをし、多目的トイレを利用させてほしいことを伝えました。すると、丁寧に場所を教えてくださり「ご自由に利用してください」とおっしゃいました。さらに就業初日には、職場内のカウンセリングルームに呼んでいただき、心理の専門家の方が話を聞いてくださいました。みなさんは、このような配慮についてどのように感じますか?
私は配慮をしていただけたことに対し、嬉しく思いましたし、感謝をしております。しかし「カウンセリングを受けたいです」と、お伝えした覚えはなく、カウンセリングを望んでもいませんでした。おそらく、職場側の配慮として、心理の専門家につないでくださったのだと思います。しかし私本人の立場からすると、過剰な配慮のようにも感じてしまいました。

相手自身が望む配慮を

LGBTQについて理解をし、具体的な配慮事項を考えていくことは、とても大切なことです。しかし、その人が求める配慮事項や方法というものは、個々によってそれぞれです。そのため、まずは「本人が望んでいる支援なのか」という点を確認することが必要ではないかと思います。この考え方はLGBTQの分野のみならず、全ての領域で当てはまることだとも考えます。お互いの支援のニーズを理解し合いながら助け合っていく姿勢が大切なのではないでしょうか。これこそが、性別や年齢、国籍、障害等の枠組みを超えた、共生社会に結びついていくのではないかと私は考えております。

その人らしく生きられる社会へ

3ヵ月にわたりLGBTQについて執筆をしてきましたが、これまで長年にわたって築きあげられてきた「男性」「女性」という生き方や文化もまた、意義あるものであり、大切にしていかなければなりません。そして、同時に「男性」「女性」のみならず、「多様な性」という考え方を尊重していくことも大切です。それぞれの考え方を否定せず、一人ももれなく全ての人が、ありのままにその人らしく生きられる社会を、みなさんと一緒に、創りあげていけたらと思います。

LGBTの象徴としてフラッグなどに用いられる6色の虹。赤は生命、橙は癒し、黄は太陽、緑は自然。そして青は平穏や調和、紫は精神を表現しています。

にじっぺ茨城代表
永瀬 大紀

福島大学にじいろサークル設立・元代表。筑波大学大学院障害科学学位プログラム在籍。LGBTQに関する理解啓発・居場所づくりの活動を展開する。

にじっぺ茨城代表<br>永瀬 大紀先生