くらしに、ひと呼吸

子育て中の女性たちの希望と現実 家族、仕事、そして「自分らしさ」を 大切にできる社会の実現を…

「仙台に暮らす女性たちの現状と課題(2019)」調査から

イコールネット仙台では、2019年、仙台市の「男女共同参画せんだいプラン」の見直しに向け、市内の女性たちにインタビュー調査を行い提言にまとめて仙台市に要望しました。今号では、子育て中の女性たちへのインタビューの内容を紹介します。
調査では、就労の有無にかかわらず、家事育児の分担は妻がメインで担っていることがわかりました。夫の協力が十分ではないことに不満を抱きつつも長時間労働の夫に対して理解を示しています。家事育児は女性の役割という性別役割分業意識が根強いことも背景にあります。それは妻たちの働き方にも影響しており、働く意欲を持ちつつも、現実とのはざまでパートやアルバイトを選択しています。今、国がすすめている育児休業制度が広く浸透し、男性も生活力を身につけ、より人間らしい生活を送ってほしいと思います。そのためにも長時間労働の働き方を変えていく必要があります。
また、仙台市は他都市からの転入転出が多い点も子育て中の女性たちをめぐる課題として挙げられます。夫の転勤に伴って、自らの仕事を退職し転勤先での職探しや子育て情報の収集等に奔走している女性たち。転勤が続くことで、子どもの教育や親の介護などにより、夫は単身赴任を選択せざるを得ない状況も生まれています。象徴的な記述として「夫の転勤で4カ所転居した。転勤先で仕事探しから始めて、新しい職場でまた人間関係をつくるのも精神的に大変。地域によって子育ても就職活動も異なり大変だった」。まさに転勤族の妻たちが抱える現実といえます。
インタビューでは、女性たちから将来に向けさまざまな希望が語られました。「仕事を充実させたい」「趣味の時間を持ちたい」「資格をとって仕事に生かしたい」「社会とつながっていたい」等々、自分らしい生き方を模索している様子が見受けられました。
子育て中の「現在」を伝えることばとして「今は子どもが優先だが、自分は何をやりたかったのか。自分は何が好きだったのか、そうしたことを考えても良かったのだと思えるようになった」。印象深いひとことでした。

特定非営利活動法人
イコールネット仙台 常務理事
宗片恵美子

男女平等社会の実現をめざし、「伝え」「広め」「提案する」を目的としたNPO法人イコールネット仙台で活動しており、防災・まちづくり・労働など幅広いテーマに取り組んでいる。

特定非営利活動法人<br>イコールネット仙台 常務理事<br>宗片恵美子先生