くらしに、ひと呼吸

フレイル予防

 みなさんは「フレイル」という言葉を聞いたことがありますか?
 「体力や気力、認知機能など、からだやこころの機能(はたらき)の低下によって要介護に陥る危険性が高まっている状態」のことをいいます。
 現代社会では、核家族化や地域との繋がりの希薄化などといった社会構造変化が進み、フレイルになりやすい環境となっています。
 また、新型コロナウイルスの発生以降、感染対策として人の集まる場所に近寄らないことが推奨されたため、外出を自粛する生活が続いた影響で「フレイル状態」となる高齢者が増加しました。

フレイルの原因

 フレイルを引き起こす原因には、主に3つの要因が考えられます。
①高齢者は活動量が減少しやすく、それによって筋肉量も落ちてフレイル状態に陥りやすくなるといった身体的要因。
②うつ病や認知症など、精神・心理的に衰弱してしまう心理的・認知的要因。
③社会・地域との繋がり、他者との関わりが少なくなることで活気や活力が減少して閉じこもりの生活から発生する社会的要因。
 具体的な状態は、半年で約2㎏以上の体重の減少、運動量低下による筋力の低下、疲れやすくなり活動する気力がなくなる、意欲や身体の活動量の低下などがあります。

フレイルを予防するには

 フレイルになるのは何も特別なことではなく、誰にでも起こる可能性はあります。健康的な生活を送っていても、加齢による影響は避けられないからです。大切なのはそういった状態になることを“遅らせる”ための予防になってきます。

適度な運動
運動不足はフレイルを招きます。適度に運動を行うことがとても有効となります。フレイルは生活習慣病の予防対策とほとんど一緒と思ってください。体操・ウォーキング・散歩など定期的に運動を行う習慣を作りましょう。

バランスのよい食事
フレイルを引き起こす要因として低栄養があげられます。年齢によって食欲が低下することがありますが、栄養が偏ってしまうことは大きな問題となります。バランスのよい食事を心がけましょう。

口腔ケア
食欲の低下だけでなく、歯が原因で食事を摂ることが難しくなる場合も低栄養に影響します。また、歯の健康を保つことは、栄養を摂るだけではなく、食事という行為を楽しむことにも繋がります。
 人との関わり、社会との繋がりを持つことはとても大切なことで、健康的な生活となるだけではなく意欲を持ち続けるうえでも重要なことです。社会との接点を失うことでの喪失感はフレイルをさらに悪化させます。
 フレイル予防の要は、栄養(多様な栄養素の摂取)・体力(習慣的な運動)・社会参加(活発な外出・地域活動への参加)の3つに集約されます。年を重ねてから、いざ始めようとしても難しいものです。若いころから始めて、習慣化することが大切です。
 みなさんもぜひ、これからの人生を健康的に送れるよう生活の在り方を改めて見直してみましょう。

こーぷ福祉会 横前 誠

こーぷ福祉会職員。こーぷ福祉会は、みやぎ生協メンバーからの設立を希望するたくさんの声と、みやぎ生協の福祉に対する理念がひとつになって1999年2月に設立。仙台市内3カ所(青葉区桜ヶ丘、水の森、太白区緑ヶ丘)の介護事業所と事業所内保育施設を運営している。

こーぷ福祉会 横前 誠先生