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平和とよりよき生活のために松元ヒロと「憲法くん」

平和とよりよき生活のために松元ヒロと「憲法くん」

11月3日は日本国憲法が公布された「文化の日」。 「自由と平和を愛し、文化をすすめる日」として国民の祝日となっています。 憲法改憲の動きがある今こそ、憲法とわたしたちの未来について改めて考えませんか?

Profile
松元 ヒロ
時事ネタを得意とするコント集団「ザ・ニュースペーパー」の元メンバー。現在はピン芸人として活躍中。2016年に絵本『憲法くん』を出版。2020年『テレビで会えない芸人・松元ヒロの世界』(鹿児島テレビ)が「第29回FNSドキュメンタリー大賞」を受賞。

平和なくらしを守る「戦争する国づくりにしない」

戦後から77年。わたしたちが戦争におびえることなく暮らせている理由をご存じでしょうか?それは、75年前にできた「日本国憲法」が大切に守られているからです。しかし、今、この憲法が改憲への道を進もうとしています。第二次世界大戦で多くの人命が奪われ、日本は「過ちを繰り返さない」「戦争をしない国」という教訓を導き出しました。生協の初代代表賀川豊彦も戦争の悲劇を繰り返さないため、国際平和協会を設立。1951年日本生活協同組合創立宣言での「平和とよりよき生活のために」は、平和な社会があるからこそ「よりよい生活」が成り立つという考えのもと、現在も生協のスローガンとして掲げられています。今回は、わたしたちのくらしを守る憲法や、生協の理念を元に、芸人・松元ヒロさんが語る憲法への想いをご紹介。これからの時代を生きていく子どもたちの未来のために、わたしたちができることを考えませんか?

松元ヒロさんが演じる「憲法くんスーパーライブ」

戦争を経験した人物のお話や、「憲法くん」という日本国憲法を人に見立てたストーリーを一人芝居で展開する松元さん。憲法とは何か、憲法がわたしたちのくらしにどう関わるのかを分かりやすく発信しています。

ライブで日本国憲法前文を朗読する松元さん。笑いに包まれていた会場が静かになり、観客がシーンと聞き入ります

「憲法くん」を演じるようになったきっかけとは

始まりは、今から20年前の日本国憲法施行50周年記念のイベントに呼ばれた時でした。憲法というと難しい話になってしまうから、憲法を人に見立てて演じようと思ったのがきっかけですね。つかみは「ボクがリストラされるって本当?」というセリフ。コントで分かりやすく伝えられたら、と思ったんです。

演じ続けて25年その原動力とは

ライブを通して観客と共に笑顔になると、自分も元気をもらえるんです。これが原動力になっていますね。難しい憲法をおもしろおかしく演じている理由は、「人は笑うと元気になれる」から。笑顔と笑いは世界共通。会場が一体となり、生の反応を感じられるのがライブの醍醐味ですね。

「憲法くん」で大切にしていることとは

そもそも憲法はどうしてできたのか。そして憲法に込められた想いを伝えるということを大切にしています。そのため、ライブでは日本国憲法の前文を暗唱し朗読しています。この前文には103の条文が全て凝縮されているように感じ、ライブでは欠かさず行います。
わたし自身、演じるようになるまでは憲法のことを詳しく知りませんでしたが、調べていくと、憲法は日本国民だけではなく全世界のことを想った素晴らしいものだと分かったんです。戦争を経験した日本だからこそ「もう二度としてはいけない」と、歴史に学び、現実の出来事から生まれた理想の形が憲法です。
今、日本では現実にマッチしないから改憲しようという動きがあります。現実に合わせようと理想を変えるのは、本当に正しいことなのでしょうか。法律は国民を縛るものなのに対して、憲法は国民が主権者で国を縛るものです。憲法の根本は生協の理念と同じ「平和を大切にし、手をとり合って助け合う」気持ち。これを手放さないでほしいと思うのです。