めぐみ野REPORT

今から50年前。みやぎ生協のメンバーさんや生産者の方々と始めた「顔とくらしの見える産直」。
生産者と消費者の食に対する思いを直接結ぶ「産消直結」の取り組みです。

春しか味わえないレアな伝統野菜「めぐみ野」春せり

春しか味わえないレアな伝統野菜「めぐみ野」春せり

宮城県石巻市(旧河北町飯野川地区)で、昔から親しまれてきた春の味覚「めぐみ野」春せり。
江戸時代から続く品種「飯野川在来」の、おいしさと魅力をお聞きしました。

約350年の歴史をつなぐ、春ならではの味覚

いしのまき農協セリ部会
部会長
髙橋 正夫さん

いしのまき農協セリ部会(石巻市/旧河北町飯野川地区)には、14軒の生産者が在籍しています。その中でも現在、「めぐみ野」春せりを栽培するのは、部会長の髙橋さんを含む2軒です。髙橋さんは78歳となる今も、江戸時代から続く品種「飯野川在来」を育て、春せりのブランドを守り、おいしい春の味覚をお届けしています。

厳しい冬を耐えて芽吹く 格別の香りと食感が魅力


 皆さんは「春せり」をご存じですか?鍋でおなじみのせりは「根せり」と呼ばれ、冬に出荷される根っこが付いたせりであるのに対し、春せりは4〜5月限定で出荷される根っこのないせりを指します。その栽培方法も独特で、秋に植えたせりを冬に一度枯らし、春に芽吹くやわらかな新芽のみを収穫するというもの。厳しい冬をじっと耐えた後の新芽は、シャキシャキとやわらかな食感、爽やかなせりの香りをたっぷり楽しむことができるのが魅力です。一方で、葉がやわらかくデリケートであるため長距離輸送ができず、春にこの地域でしか味わえない希少価値の高い食材でもあります。「飯野川在来という品種は、寒さに弱く、この地域特有の気候や豊富な伏流水といった豊かな自然があるからこそ、歴史ある品種を育て続けることができるのです」と髙橋さん。生産者や地域に育まれ、愛され続けてきた伝統野菜をぜひ食卓で!

約350年前より、旧河北町飯野川地区で栽培がスタートした品種「飯野川在来」。
食文化を守るため伝統野菜「河北せり」として、野菜では宮城県内初となる「地理的表示(GI)保護制度」に登録されました

「めぐみ野」春せりおいしさのヒミツ

「めぐみ野」春せりは、北上山地の山々に囲まれた「せり田」と、豊富に湧き出る地下水に恵まれた旧河北町飯野川地区で栽培されています。
収穫を迎えるまで約8カ月。生産者の愛情をたっぷり注がれて育まれています。

春せり(葉せり)
4月〜5月限定で出荷される、短期間しか味わえないレア食材!葉茎のやわらかさとクセの少なさ、香りのよさからサラダにもぴったり!

秋冬せり(根せり)
10月〜2月に出荷される、根っこごと味わえる冬の味覚

春せり(葉せり)収穫の流れ


厳しい冬の寒さに耐え、一度枯れた葉茎の下から新しく芽吹いたものが春せり

7月頃からせり田の準備が始まり、8月に種せりの採取を行います。9月にはせり田に水を張り、上に葉・下に根が伸びていくように、種せりを寝かせるようにまきます。秋に植えたせりを一度枯らし、春に芽吹くやわらかな新芽のみを収穫します。

一本一本手作業で選別・洗浄
根元まで優しくかき分け、挟まった葉などを丁寧に取り除きます。熟練のお母さんたちの目利きで、今はきれいな色の葉でも、翌日には色が変わってしまう葉は取り除きます。洗浄の井戸水は約5℃。鮮度とみずみずしさは、こうしたこだわりからも紡がれています。

土作りから出荷まで\全て人の手で大切・丁寧に/

せりを栽培する「せり田」の土作りや、日々の調整・管理、収穫・選別・洗浄・出荷に至るまで、機械化せず全て人の手で丁寧に行います。水を張った泥の中で根っこごと引き抜く根せりに対し、春せりは水気のない土にしっかりと根を張っているため、カマで丁寧に刈り取っていきます。

顔とくらしの見える産直「めぐみ野」三つの基準

だれ(生産者)がどこ(産地)で作ったかがわかります。
「どのように(栽培・飼育方法)作られているのかがわかります。
「生産者とみやぎ生協のメンバーの交流があります。

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おいしい食べ方と未来への想い

先祖代々引き継ぎ、地域で愛され続けてきた春せりを、メンバー(組合員)のみなさまにお届けできることがやりがいにつながっています。近年は気候変動の影響で、種せりの管理や収穫時期の見極めなども、より複雑になっています。飯野川在来の品種を守りながら、これからもおいしいせりと食文化を未来へつなげていきたいですね。

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「めぐみ野」春せり 取り扱い
みやぎ生協全店(コープふくしま除く)
※A&COOP松島店、角田店、および宅配での取り扱いはありません。