くらしに、ひと呼吸

部活動への加入 親からのアドバイスは?

部活動はいま

読者のみなさんは、中学高校時代、部活動に参加していましたか。部活動に打ち込んだあの日々は一生の思い出…という人も多いのではないでしょうか。
一方で、先輩とのトラブルや顧問の指導への不満など嫌な思い出をお持ちの人もいるでしょう。部活動内いじめや顧問による不適切指導で自死に至るなど、痛ましい出来事が起きているのも事実です。
さまざまな議論や歪みはありますが、部活動が教育活動の延長上に位置づけられており、健全な部活動は学校生活に良い影響を与えるということは言うまでもありません。

そもそもの意義とこれまでの経過

部活動は、国の学習指導要領に「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」とあります。この趣旨どおりであれば、異年齢集団による楽しい活動となるはずです。ところが、1980年代は生徒の荒れの問題から、全員加入制による生徒管理が強まり、体罰等も後を絶ちませんでした。
その後、社会や価値観の多様化(クラブチームや音楽・ダンス教室等の増加)が進み、子どもの権利の尊重も謳われるようになったことで、部活動の在り方が変わってきました。また、教師の働き過ぎも問題になり、「ブラック部活」と揶揄されることも多くなりました。
ちなみに、宮城県の中学校の現状は、任意加入(仙台、岩沼、涌谷など)と全員加入の割合が概ね5対5です。全国的には、任意加入が3分の2を占めており、全員加入が少しずつ減ってきています。

お子さんへの助言をどうするか

もし、お子さんから部活動への入部について相談を受けたり、「やめたい」と告げられたらどうしますか。
任意加入制の中学校では、部活動の意義や楽しさについて自身の経験も踏まえて伝え、本人に判断させるとよいでしょう。なお、部活動に入らないと高校入試で不利になるのでは、との心配は無用です。スポーツ系の学科に進むのでなければ、合否の判定に影響はありません。
難しいのは、全員加入制をとる中学校の場合です。「入りたくない」「やめたい」が許されていないからです。その場合、少しでも興味のある部に入るか移るしかありません。でも、部活動のそもそもの意義を考えると、親も子も学校に対して声を上げることが大切です。「全員加入制について検討してくれませんか」「入らない自由も保障してください」と。今は、その時期に来ていると思います。
勝利至上主義の克服、運営の民主化、教師の長時間労働の改善など課題は山積ですが、保護者のみなさんは、お子さんの立場に立ってアドバイスをしてあげてください。

みやぎ教育相談センター
所長 瀬成田 実

38年間中学校教師を務め、2021年4月から現職。教え子の震災伝承活動のサポートも続けている。
みやぎ教育相談センター
いじめ・不登校・進路などの相談に応じています。
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