くらしに、ひと呼吸

もっと知りたい腸内細菌のこと その2 女性の更年期について

女性の老化へのプロローグ「更年期」

女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量は、「思春期」から「性成熟期」、「プレ更年期」、「更年期」へと変動し、気分や体調に大きく影響を与えます。今回は「更年期」に焦点を当ててお話をします。
更年期は個人差がありますが、一般的に閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた約10年間をいいます。今まで周期的に排卵し、2種の女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)を分泌していた卵巣の機能が衰えてくるために起こる変化です。月経周期の乱れは、更年期に入った一つのサインともいえます。さまざまな症状の中で他の病気を伴わないものを「更年期症状」、その中でも症状が重く日常生活に支障をきたす状態が「更年期障害」です。エストロゲンは血管や骨、脳、皮膚など、体の至るところで働いて、女性の健康を内側から支えており、この分泌量の低下が、ホットフラッシュ、発汗等血管拡張と放熱に関する症状や、めまい、動機等の身体症状、そして情緒不安定、不眠などの精神症状をもたらします。

更年期の諸症状の緩和にエクオール

辛いこの時期の症状緩和の一つの方法として、エストロゲンと似た化学構造である大豆イソフラボンが着目されています。大豆イソフラボンには「ダイゼイン」「ゲニステイン」「グリシテイン」の3種類があり、そのうち「ダイゼイン」が腸内細菌の力で代謝され「エクオール」へと変わり女性ホルモン様の作用を発揮し、更年期の諸症状を和らげることが報告されています。

「エクオール産生菌」とは

体内でエクオールという物質を作るための腸内細菌を「エクオール産生菌」といいます。このエクオール産生菌は、全ての人が持っているわけではありません。日本人は2人に1人、欧米人は3人に1人が持っています。興味のある方は検査キットが流通していますので、確かめてみるのもいいかも知れません。産生菌がある方は、大豆製品を積極的に食べていただき、ない方は、エクオールサプリメントの利用も検討してみてください。

仙台白百合女子大学
人間学部健康栄養学科准教授
相澤 恵美子

東北大学大学院医学系研究科医科学専攻行動医学分野博士課程修了 博士(医学)。
研究分野は「腸内細菌と栄養、精神栄養、健康寿命を伸ばすための栄養」。

仙台白百合女子大学<br>人間学部健康栄養学科准教授<br>相澤 恵美子先生