くらしに、ひと呼吸

「好き」が子どもの可能性を広げる

「楽しい」は成長の原動力

収穫を迎える果実や野菜が多い季節ですね。保育士をしていたとき、春は「保育所の畑に何を植えたい?」「収穫したらどうやって食ぺる?」と子どもたちと相談して苗植えをしました。当時は秋の収穫を楽しみに日々の水やりや草取りに励み、ワクワクしながら生長を待ったものです。
収穫し調理をして食べる体験は、最も豊かな食育です。子どもが「自分で作って食べる」「みんなと一緒に食べる」ことで、嫌いなものもあっさり口にし、一気に苦手を飛び越えていく姿を何度も目にしました。「楽しい」は大人の想像を超えて、子どもを成長させるチカラがあります。

食ぺ物の好き嫌い

食ぺ物の好き嫌いで悩むお母さんの相談に、私は「苦手な物を食ぺさせようと思うより、好きな物を増やしていくことを考えましょう」と提案しています。そもそも子どもはまだいろいろな食べ物に慣れていません。想像と違う味、食感、熱さ、冷たさに驚くと、思わず口から出してしまうものです。その時の雰囲気や見た目にも影響されます。それを大人が「嫌いな物」と決めるのは早すぎます。逆に子どもに苦手意識を植え付けることにもつながります。繰り返し何度も食卓にあげ、大人がおいしそうに食べてみせると、真似をして食ぺたりします。口に入れてすぐ出したとしても、味や食感を学習していくので、一口食ぺれば良しとしましょう。誰でも好き嫌いがあるのは自然なこと。苦手な物があってもほかのもので栄養を摂れば大丈夫!とおおらかに構え、好きな食ぺ物を増やしていくとよいで

「好き」なことをたくさん見つける

食ぺ物の好き嫌いを心配するように、我が子の苦手なことを少しでも直したいと思うのが親心。よりよく育ってほしいと願うから、「苦手」や「不得意」に目が行きがちです。しかし、そんなときこそ、子どもの「好き」や「得意」に目を向けてほしいと思います。昔から「好きこそものの上手なれ」と言いますが、好きなことは自然と上手になるものです。それが子どもの自信となり、いずれ苦手なことや困難にも挑戦する気持ちが湧いてきます。日々の生活や遊びの中で、できることを当たり前と見過がさず、子どもの「好き」「楽しい」を大切にしていきましょう。

「好き」を育てる3つのポイント

〇子どもがワクワクしたり「楽しい」と感じることを大切にしましょう
〇食べ物の好き嫌いは自然なこと、苦手な食べ物は大人がおいしそうに食べて見せましょう
〇子どもが得意なことを見逃さずに目を向けましょう

そね やすこ

保育士/ベビー&キッズマッサージ講師/新米ママとこどものわくわくサロンKOKORO主宰。宮城県内各地の保育園や児童館などで、親子ふれあい遊び講座やママの悩みに寄り添う育児相談を行っている。

そね やすこ先生