子育て中の女性たちの希望と現実 高齢女性に聞く「健康」「経済」「介護」「生きがい」 一人ひとりの尊厳が守られる社会を望む声多く・・
「仙台に暮らす女性たちの現状と課題(2019)」調査から
イコールネット仙台が、仙台市の「男女共同参画せんだいプラン」の見直しに向け、市内の女性たちを対象に行った調査結果(2019年)から、今号は高齢女性へのインタビューの内容をご紹介します。
調査協力者は70代が中心で、いわゆる団塊世代にあたります。この世代が成人した時期は女性の就業率も低く、結婚で仕事を辞めるケースが一般的で、性別役割分業型の家族が最も増えた世代といえます。
課題として挙げられる健康面においては、多くがひとり暮らしのため「家事や簡単な介護にすぐに応じてくれる体制がほしい」といった行政への要望が聞かれました。経済については、収入源は年金のみの場合が多い中、資格や経験を活かして継続的に仕事に就いている人もおり、社会と関わっている実感や自信にもつながっていることがうかがえます。さらに、切実な課題としては「介護」が挙げられます。子どもに負担をかけたくないという一方で、在宅介護を希望する人は施設介護の2倍となっており「公的サービスを受けながら住み慣れた自宅で過ごしたい」とする回答が多いのが特徴でした。中には「同世代の女性たちで老後を支え合おうと『おひとりさま会』を立ち上げている」という前向きな回答もありました。自分の価値観や生活の仕方が尊重される介護を望む声が共通して聞かれたのが印象的でした。
また、自らの経験や知恵を地域のために活かしたいという人も多く、長年にわたり培った力を実際に幅広く役立てている人も見られました。「自宅で地域住民対象のサロンをやっている」「近くに住むシングルマザーが仕事に行っている間、子どもを預かっている」「保育士の経験を活かして小学校で手遊びを教えている」など。地域での関わりが女性たちには大きな力となっていることが伝わってきます。
元気な間は見過ごしてきた健康や老いについて、どう「老い支度」をするか、こう生きたいという計画を自ら立てられるようでありたいと思いました。
特定非営利活動法人
イコールネット仙台 常務理事
宗片恵美子
男女平等社会の実現をめざし、「伝え」「広め」「提案する」を目的としたNPO法人イコールネット仙台で活動しており、防災・まちづくり・労働など幅広いテーマに取り組んでいる。