非正規職のシングル女性が抱える課題女性たちが分断されることのない社会を・・
「仙台に暮らす女性たちの現状と課題(2019)」調査から
日本では、働く女性のうち非正規雇用の割合は50%以上を占めています。既婚女性の非正規職の多くは夫に扶養されているという前提がありますが、結婚していない女性の場合は、賃金の低さによって貧困率が高くなる傾向も見られます。そこでイコールネット仙台では、仙台に暮らす非正規職のシングル女性を対象に調査を実施しました。
その結果、調査協力者のほとんどは、自ら非正規職を選択しているわけではなく、「非正規職でしか働ける職場がなかったから」という「不本意非正規」であることがわかりました。背景には、「年齢」「社会情勢」「職種」などがあり、職種別に見るとスクールカウンセラーや図書館司書などは、特に非正規雇用を前提とした働き方になっている場合が多いとの結果が出ました。女性たちからは仕事にやりがいを感じ、自身の専門性を発揮したいと業務にあたっている様子が聞かれましたが、こうした専門職の「正規雇用」をすすめることは、本人のためはもちろん、市民生活にとっても極めて重要な問題なのではないでしょうか。
さらに非正規職の場合、「雇い止め」などの不安定雇用やボーナスや退職金の支給もなく、貯蓄する余裕がないなどの課題を抱えていることも事実です。
そうした中でも、将来に向けた展望として「働く親たちをサポートする活動をしたい」「自分の専門職の経験を活かして起業したい」などと話す女性たちもおり、前向きな意思が伝わってきました。
「非正規といっても、二流、三流の仕事をしているわけではない。それぞれがプロとして仕事に誇りをもって日々の業務をこなしている。多くの非正規によって、都市のさまざまな機能が動いている。その私たちの存在をないものとして目をつぶらないでほしい。尊重して評価してほしい」という女性たちの声が強く胸に響きました。
調査を終えて、年齢・結婚の有無・働き方などにより女性たちが分断されることのない社会、そして、誰もが自分らしく豊かに生きるためにそれぞれの選択が尊重される社会に向けて、私たち自身が声を上げ問題提起をしていく必要があると痛感しました。
特定非営利活動法人
イコールネット仙台 常務理事
宗片恵美子
男女平等社会の実現をめざし、「伝え」「広め」「提案する」を目的としたNPO法人イコールネット仙台で活動しており、防災・まちづくり・労働など幅広いテーマに取り組んでいる。