アンガーマネジメントって、なあに?
くらしに、ひと呼吸できるスキルを
2024年を迎え、心新たに目標をお考えのことと存じます。
仕事や子育て、親御さんの介護、ご自身の健康と多様な課題に向き合っておられることでしょう。イライラしたり、ふさぎ込んだり、心が晴れない日もおありかと思います。喜怒哀楽の感情の中で扱いが難しいのが怒りの感情です。「ああ、言いすぎちゃったかも」と怒ったことで後悔していませんか。逆に、怒らずにいたことで「あのとき、もうひとこと言えばよかった」と後悔したことがありませんか。私たちは怒って後悔、怒らなくて後悔を繰り返しています。
くらしに、ひと呼吸できるスキル「アンガーマネジメント」を3回のシリーズでお届けします。
えっ、怒ってかまわないの?
怒ると嫌われる、怒って人間関係が悪化、怒って信頼を失ったと、怒る=悪いと捉えがちではないでしょうか。
アンガーマネジメントは1970年代アメリカで生まれたとされる、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングのことです。
アンガーは怒り、マネジメントは後悔しないことと意訳しています。怒る必要があることは上手に怒れ、怒る必要がないことは怒らないようになることをめざしています。
怒ることはかまわないのですが、感情的に怒ることではありません。上手に怒るとは、人を傷つけない、自分を傷つけない、モノを壊さないという3つのルールを守って適切に自分が相手にどうしてほしいのか、リクエストを伝えられるようになることです。
怒りの感情があってこそ、とはいえ
怒りは人間にとって自然な感情。防衛感情とも言われ、命や価値観、自尊心など大事なものを守るという機能・役割があります。
動物が天敵から身を守るとき、怒りを使って戦闘態勢にし、戦うか逃げるかの行動を取ります。
子育て中、こんな経験がありませんか。お子さんが車道に飛び出しそうなとき、危ない!と手を伸ばして危険を回避したこと。この行動が取れるのは怒りの感情があってこそ。とはいえ、テレビ等で見聞きしたことに苛立っているのは戦闘モードですから疲れます。むだなことに怒らずに済んだ方が得策です。
これから怒る必要があることと、怒る必要がないことを自分で線引きができれば、ストレスなく過ごせるようになります。
(一社)日本アンガーマネジメント協会 アンガーマネジメントコンサルタント® 川上 淳子
2016年4月より、Edu Support Office代表 元宮城県公立小学校教員。元国立大学法人宮城教育大学教育学部非常勤講師。2014年よりアンガーマネジメントを学び、2016年3月退職。著書に『教師のためのケース別アンガーマネジメント』、『高齢者に「キレない」技術』共に小学館刊。