くらしに、ひと呼吸

「健康食品」に気をつけましょう

みなさんは「健康食品」を摂っていますか?厚労省の国民健康・栄養調査によると、サプリメントなどの健康食品を摂取している人の割合は男性が30%、女性が38%と、多くの方が利用しています。しかし、使い方によっては健康被害が起きたり、医薬品との相乗作用が起きることもあります。どんな点に注意をすればよいのでしょうか。

健康食品による健康被害

ここ数年、消費生活センターなどの相談窓口に寄せられる健康食品の苦情が増えています。たとえば「お試しのはずが定期購入になっていた」など、販売方法に関する相談が多いのですが、中には健康被害の報告もあります。「国民生活センター」によれば、全国から寄せられた健康被害は2019年で4,000件近くあり、発疹などの皮膚障害、下痢症状などの消化器症状が報告されています。健康食品はカプセルや錠剤など、形状が医薬品に似ており、「薬のようなもの」というイメージがあるようですが、実は全く違います。健康食品の中には品質がバラバラで質の悪いものもあり、有効性や安全性について科学的根拠が明らかでないものもあります。また、安全性が高いと思われているビタミンAなどでも、過剰摂取により健康被害が起こることがあります。誰かにとってよい健康食品が、あなたにとってよいとは限りませんので、体調不良が現れたらすぐに使用を中止しましょう。

健康食品と医薬品の相互作用

中でも健康食品との医薬品と相互作用には、注意が必要です。たとえば、カルシウムや鉄などのミネラルと、抗生物質(テトラサイクリンなど)を併用すると、薬の吸収が阻害されるおそれがあります。また、クロレラやイチョウ葉などの健康食品は、血液をサラサラにする抗凝固薬のワーファリンなどと飲み合わせると薬が効かなくなることがあります。比較的安全とされるトクホでも、血圧が高めの方向けのトクホと高血圧治療薬の相互作用で、降圧作用が増強してしまいます。医薬品との相互作用について、きちんと注意喚起の表示をしている食品もありますが、情報がないものもあります。そもそも健康食品は健康な方が健康保持を期待して摂取するものであり、病気の方のためのものではありません。摂取する場合は医師に相談するなどして、十分に注意して利用するようにしましょう。

森田 満樹さんからのアドバイスは今月号で最終回となります。次号からは新しい先生が登場いたします。

一般社団法人
Food Communication Compass
森田 満樹

九州大学農学部卒業後、食品会社研究所、業界誌、民間調査会社などを経て、現在はフリーの消費生活コンサルタント・ライター。消費者の気になる食の情報を広める活動を行う。

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