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海を守る。くらしを守る。私たちの未来のために

海を守る。くらしを守る。私たちの未来のために

地球上のすべてのものにとって共有の財産である海を守り、海と共に生きるため、今ある問題を知り未来のためにどんなことができるのか一緒に考えてみましょう。

海の豊かさを、次世代へ

地球上でくらす私たちの身近に当たり前のように存在し、生活のあらゆる部分と密接に関わり合う海は、地球上で生きるすべてのものの共有の財産といえます。しかし、私たちは便利なくらしや豊かさを求めるあまり海を汚し環境を破壊しているのが現状です。
持続可能な社会をつくるSDGsの14番目の目標である「海の豊かさを守ろう」の、海洋汚染の解決・海洋生物の保全を、私たち一人ひとりが今一度考え、次の世代にきれいで豊かな海を残すことが大切です。

今、海で何が行われようと しているのか

命をつなぎ、くらしになくてはならない海に今、何が行われようとしているのでしょうか?

政府は国民の理解を得ないまま、東京電力福島第一原子力発電所事故で原子炉から発生している放射能汚染水を処理した【アルプス(ALPS)処理水】を海に放出しようとしています。これは、海を取り巻く環境や水産物、漁業を生業としている方々をはじめ、私たちにとっても大きな問題と言えます。

東日本大震災から10年、これまでの歩みと、東北にくらす1人として、様々な生産者や協同組合と向き合ってきた視点から、私たちが海を守るために考えなければいけないこと、必要なことを見つめ直す機会としてこの問題を一緒に考えてみませんか?

積み重ねてきた人の想いと、海・食の安全

東日本大震災から10年。被災地域ではさまざまな復旧・復興の取り組みが進められています。東日本の海や海産物は津波に加えて東京電力福島第一原子力発電所の事故により大きな被害を受け、さらに海洋汚染問題や検査の負担が続くなど漁業や海産物の加工・流通に従事している人々、その地域に住まい地魚を愛好してきた人々など、たくさんの人が苦労し、心を痛めてきました。
宮城県・福島県・茨城県では、海産物の独自の検査を国の基準以上の厳しい条件で実施し、さらに福島県では流通・生協関係者などとの協議を重ね、この10年間魚種ごとの安全性を確認しながら非常に慎重に水揚げを行ってきました。


こうした取り組みを行い、学習や現状の課題の理解を深める活動を重ねることで、現在ではデータ上からも海の状態が原発事故前の状態にほぼ戻り、それが理解・信頼されるというところまで、ようやくたどり着くことができました。海産物も安全が担保される状態であるからこそ出荷が始まり、みなさんの食卓へ届けることができています。生協の顔が見える産直「めぐみ野」の活動も復興を繋げていく助けとなっています。
そんな中、2021年4月13日に、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴うアルプス(ALPS)処理水の海洋放出が決定されました。
これまで陸上保管を目指してきた原発事故の汚染水対策ですが、この根本を変え、2023年から数十年にわたり処理・希釈して海へ放出するという方針なのです。これは国民や国際社会の議論を経ない性急で一方的な決定で、漁業・水産業の復興に向けたこれまでの歩みも全く踏まえていません。私たちは今一度みなさんで考えていかなくてはなりません。

一人ひとりが考え 行動することが未来の鍵に

海の復興はまさに今が正念場といえます。アルプス(ALPS)処理水海洋放出に関する問題には、放出以外の方法の検討の不十分さ、希釈・放出する工程での安全性と透明性の確保の方法の不透明さ、国民や国際社会との対話の欠落、なにより漁業など深刻な影響を受けうる地元産業への対応の方法と責任のあいまいさなどがあります。地元の漁協や水産業、そして消費者が分断されることなく、課題解決へ向けて進むためにも、まずは私たち一人ひとりが自分ごととしてこの問題を捉え、理解することが出発点になります。海と私たちの未来を一緒に考えていきましょう。