くらしに、ひと呼吸

環境過敏症にならないためには

環境過敏症発症予防個人レベルの対策は?

化学物質過敏症の概念を世界で最初に提唱したシカゴ大学のアレルギー専門医ランドルフ博士は、「化学物質過敏症は20世紀に合成された人工的な化学物質に対する生体の不適応である」と述べています。近年、私たちの生活環境は急激に変化し、健康に影響を及ぼす外的環境因子も多様化、複雑化しています。その結果、人々が外部環境に適応できなくなったのが環境過敏症だと私も思います。そこで、環境過敏症にならないためには、次のようなことが大事だと考えます。
1)日頃からバランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスの解消を心がけ、自然治癒力(免疫力)を高めておく。殊に、幼少期から免疫力を高める。
2)良好な住環境および良好な食環境で有害な化学物質曝露を減らす。
3)IT機器は、各機器の性質をよく調べ、健康影響が出ないような使い方を心がける。特に脳神経の未発達な幼少期の子どもには、できるだけ使わせない。
4)子どもは、自分の症状をうまく説明できません。図1に示したような症状がいくつもあり、原因がわからないまま長く続く場合は、保護者が外部環境中に何か原因がないかを探して取り除いて様子を見る。

社会的レベルの予防原則的対応も必要

環境過敏症のように、種々の要因が複雑に絡み合って起こる健康障害は、社会全体で予防原則的対応をする必要があると私は考えます。欧米では、以下のようにEHS(電磁過敏症)に対する予防原則的対応をとっている国や州があります。
1)スイス、イタリア、ロシア、ポーランド、ブルガリア、ベルギー、ギリシャなどでは、子どもの健康被害を予防するために厳格なガイドラインを設けています。
2)スイスでは携帯電話基地局の設置や運用に関して周辺住民の健康に配慮した厳しい規制を設けています。
3)欧州評議会議員会議は「電磁場の潜在的危険性に関する決議」を採択し、加盟国に対して①EHSをもつ人々に特別な注意を払うこと、②無線LANネットワークがない電磁場フリーエリアを設けること、③EHSをもつ人々を守るための予防的対策を講じることを勧告しています。
4)ロシア・イタリアは日本の60倍、欧州評議会の勧告(屋内環境・中期目標)は日本の6万倍も厳しい規制値を設定しています。日本でもそろそろ予防原則で対応すべき時期にきているのではないでしょうか?

尚絅学院大学名誉教授
東北大学大学院歯学研究科研究員
室内環境学会環境過敏症分科会代表
日本臨床環境医学会環境過敏症分科会代表
医学博士、歯学博士
北條 祥子

東北大学医学部薬学科卒業後、東北大学歯学部口腔生化学、尚絅女学院短期大学・尚絅学院大学、早稲田大学応用脳科学研究所で生活環境と健康に関する研究・教育に従事。専門は環境医学・疫学。

尚絅学院大学名誉教授<br>東北大学大学院歯学研究科研究員<br>室内環境学会環境過敏症分科会代表<br>日本臨床環境医学会環境過敏症分科会代表<br>医学博士、歯学博士<br>北條 祥子先生