くらしに、ひと呼吸

介護保険の仕組み

 介護保険とは、介護を必要とする人を社会全体でサポートし合う仕組みのことです。
 実際に自分が高齢となり介護を受ける、または高齢の家族を介護するという状況に直面するまでは、日常生活のなかで介護保険について詳しく理解する機会は少ないのではないでしょうか。
 介護保険の仕組みや利用方法は少し複雑で、なかなか内容が理解されにくいのが現状です。
 しかし、家族や自分の人生を支えることになる大切な制度なので、もしもの時に備えて理解しておくことも必要です。
 高齢化が進んでいく中で、高齢者介護の問題は、高齢期における最大の不安要素となっています。「介護保険制度」は、介護という問題を社会全体で支え介護が必要になった場合でも、安心して暮らすことができる長寿社会を目指すためのものです。

介護サービスを利用するためには「介護保険認定申請」が必要です

 介護保険のサービスは、お住まいの市区町村に申請して「要支援」または「要介護」と認定されて初めて利用できます。
 認定申請をすると、必要な事が2つあります。1つ目は「訪問調査」です。ご自宅へ調査員が訪問して身体の様子などの聞き取りを行います。調査には可能な限り家族の方などが同席して、本人の普段の様子などを一緒に伝えることをおすすめします。入院中であれば入院先の病院で調査を受けることも可能です。
 2つ目は、「主治医意見書」の作成です。かかりつけ医に意見書を作成してもらいます。かかりつけ医がいない場合や病院へ行っていない場合などは、地域包括支援センターなどへ相談をするとよいと思います。
 申請から認定結果までの期間は約1ヵ月程度必要です。
 認定結果は介護保険被保険者証に記載され、直接本人へ郵送されます。「要支援」または、「要介護」と認定された場合は、7つの段階に分けられ、それぞれの区分に応じて介護保険のサービスを利用することができます。
 認定が非該当となる場合もあります。非該当となった場合には介護保険のサービス対象とはならないので、注意が必要です。

介護保険で利用できるサービスとは

 介護認定によって利用できるサービスが異なる上、すべてのサービスがすぐに利用できるわけではありません。
 介護保険で利用できるサービスは、居宅サービス・地域密着型サービス・施設サービスの3つに大きく分けられ、「要支援」と「要介護」では利用できるサービスが異なり、自己負担は所得に応じて1~3割となります。
 施設サービスは希望しても施設の入所定員があり、すぐには入所できないことがあります。
 介護保険は、介護保険認定申請から認定結果、介護サービスの利用まで仕組みが複雑なので、地域包括支援センターなどの相談窓口を上手に利用しながら介護保険や介護に関しての相談をしていただきたいと思います。

こーぷ福祉会 横前 誠

こーぷ福祉会職員。こーぷ福祉会は、みやぎ生協メンバーからの設立を希望するたくさんの声と、みやぎ生協の福祉に対する理念がひとつになって1999年2月に設立。仙台市内3カ所(青葉区桜ヶ丘、水の森、太白区緑ヶ丘)の介護事業所と事業所内保育施設を運営している。

こーぷ福祉会 横前 誠先生