くらしに、ひと呼吸

歯磨きから歯もみへ

新幹線ではやぶさに乗ると仙台から大宮までノンストップです。でも、各駅停車ならば白石蔵王で降りて冷えた体をうーめんで暖めたり、福島駅構内の立ち食いそばで、てんぷらそばを食べたりできますよね。各駅停車にはいいことがあるように、歯磨きも各駅停車がおすすめなんです。
それでは、歯磨きの各駅停車とは、いったいどういうことなのでしょうか。

ゴシゴシからモミモミへ

歯磨きをしてゴシゴシ聞こえてくるのは歯一本一本をキレイにしているのではなくて、並んだ歯を数本まとめて面倒見るように大きく横磨きをしているから。
はやぶさなら仙台から大宮までひとっ飛びですが、それでは白石も福島も寂れるばかりです。ここはやっぱり地元を大事に各駅停車がおすすめです。
ゴシゴシは並んだ歯の表の飛び出した場所、歯の裏の飛び出した場所だけにブラシが当たって隣の歯にすっ飛んでいく音です。つまりタイルはピカピカになりますがタイルとタイルの間の目地は汚れたままです。その目地の部分が大切な白石蔵王や福島なのです。歯医者さんが目指しているのは、むし歯になりやすい歯と歯の間や、歯周病になりやすい歯と歯ぐきの境目をどうやってきれいにするか、です。
そのためには毛先が細くて柔らかい小さめの歯ブラシで、歯の一本一本の隙間に毛が入り込み、そこで入った毛が小さくダンスを踊ってくれると汚れがキレイに取れます。ひとっ飛びにならないように歯ブラシはペンを握るように持って小さくモミモミと振動させます。
この振動で毛先は歯と歯ぐきの境目にある歯垢(しこう)にも届いてキレイにしてくれるので歯周病の予防にも最適です。

ゴシゴシ磨きは歯がキレイになったと思っても歯の間、歯と歯ぐきの境目の汚れは残ったまま

糸楊枝(フロス)で仕上げ

モミモミは歯の間に毛を入れられますがそれでは不十分なので、できたら歯の間を糸楊枝で掃除すると完璧です。
ヨーロッパでは小学生からフロスを使って歯の間の掃除をしています。フロスの使い方は、歯科受診して歯科衛生士さんから教えてもらうことをお奨めします。
歯医者さんに治療してもらうのではなく歯医者さんを利用して自分の口の手入れを学びに行きましょう。

歯学博士
尚絅学院大学名誉教授
岩倉 政城

東京歯科大学卒業、東京医科歯科大学大学院修了、東北大学助教授、尚絅学院大学教 授、尚絅学院大学附属幼稚園長を経て現在に至る。 現、尚絅学院大学名誉教授、歯学博士。

歯学博士<br>尚絅学院大学名誉教授<br>岩倉 政城先生