身近なモノの背景を知り・使うサスティナブルなくらし
「サスティナブル」という言葉には「持続可能な」という意味があります。 地球環境の保全や天然資源の確保を通じて、2030年までに世界が達成を目指すために掲げられた目標の一つ、「つくる責任、つかう責任」。今回は、食と衣類の分野で活動している2人にお話をお聞きしました。消費者の生活の中にあるさまざまな「モノ」の背景を意識し、これからのくらしの中での「つかう責任」を一緒に考えてみませんか?
食に向き合う、作り手のこだわり地元野菜への想い
福島県伊達市にあるイタリア料理店「ラ・ワサビ」は、地元の食材で大切な人へ手料理を振る舞うイタリアの郷土料理の考え方を取り入れています。
オーナーの末永さんは、「おいしい野菜を作りたいという、人の想いがのった野菜は格別です」と、野菜選びには特にこだわっています。自ら生産者の元へ足を運び、地元伊達市で育った野菜を使用した料理を提供。お店ではこだわりの食材をメニュー表に記載している他、スタッフによる料理の説明などを通じて、食の楽しみや味わいを深める取り組みを行なっています。
「おいしい食材でおいしい料理をおなかいっぱい食べてもらいたい」という想いがお店作りの柱になっています。
つくる側とたべる側のつながり食の交流と循環
末永さんは、地元の食材を「発食」するマルシェを定期開催しています。(※現在は新型コロナウイルス感染症のため休止中)
直接、生産者や料理人と気軽に会話を楽しめるとあって、地域の新しいコミュニティとして親しまれています。交流を通じて、食材の育つ背景やおいしい食べ方などを知ることで、食に対する理解が深まります。この交流は消費者と生産者の距離を近づけるきっかけが生まれ、みやぎ生協の顔とくらしの見える産直「めぐみ野」にも通じるものとなっています。
大量生産と大量消費のファストファッション(※)の今と課題
ファストファッションが主流となっている現在、衣服が大量に生産・廃棄されていることが問題となっています。在庫過多傾向にある商品計画や国内外での製造、それにまつわる労働環境での健康被害など、さまざまな課題が浮き彫りとなっています。
「循環型衣類」に見るつくる責任、つかう責任
ライフスタイルの変化や流行に背中を押されるように、たくさんの衣類を購入しがちです。しかし、数が増えたことにより管理・把握がしきれず、着ないものが増えゴミになってしまうケースも増加傾向に。衣類は綿などの素材の栽培・調達から、染色加工や仕上げ、工場での縫製など、完成し店頭に並ぶまでにたくさんの工程を経て作られています。生地の特性により、廃棄される瞬間まで辿る道はさまざま。
リサイクル素材ならよいという一面的な問題ではなく、全ての工程で「つくる責任、つかう責任」が伴います。
意識することから変えていける私たちにできること
「消費者が何を求めるかで、産業は方向転換することが可能です。衣服は安くて当たり前という考え方に疑問を持ち、適正価格を考えることが大切です」と玉田教授。作り手の想いを知りたいと思う気持ち、ファンとして作り手を応援する気持ちが重要です。
商品の「物語性」を知ることで、より愛着を持ち丁寧に向き合うことができます。